●安保法制についての反対討論 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)
刷新の会 ふるぼう知生でございます。私は、ただいま議題とされております、27請願第4号『「平和安全法」案は、国民の理解と納得を得るまで期限を定めず審議をつくすべきであるとの意見書を国に提出することを求める請願』並びに、27陳情第9号「集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を撤回し関連法律の改正を行わないことを求める意見書を衆議院および参議院に提出する陳情」そして、27陳情第10号「安全保障関連法案の審議に関する意見書を衆議院及び参議院に提出する陳情」を不採択とすることに反対の立場から討論いたします。
本来、国政の問題を地方議会において議論することに違和感を覚える私ではありますが、今回の安全保障関連法案の議論に関しては、民主主義の危機であるとの認識を持っており、憂国の思いから討論をさせていただきます。
現在、国会で安全保障関連法案が審議されておりますが、殆どの憲法学者がこの法案は違憲であると主張しております。違憲か合憲かという判断は、もし裁判になれば最高裁に委ねられるとしても、法律を制定する前から、これだけ多くの学者から違憲だと言われている事実は今までにあまり例がないことではないでしょうか。
これまで政府は、「日本国憲法のもとでは集団的自衛権は行使できない」という解釈をとり続けてきました。なぜ、一内閣が恣意的に憲法の解釈を変えることができるのでしょうか。よく「時代が変わって日本を取り巻く安全保障の環境が変わったからだ」と政府は説明しますが、であれば目指すべきは憲法を改正することであって、解釈を変えることではないはずです。時代が変わったから解釈を変えられるほど憲法は軽いものなのでしょうか。
憲法によって支配者の恣意的な権力を制限しようとする制度を立憲主義といいます。すなわち為政者の恣意的な権力を制限するために憲法があるのですから、長い間常識として定着してきた「集団的自衛権は行使できない」とする解釈から、「集団的自衛権を限定的に行使する」という解釈に変更することは、まさしく立憲主義に反することです。
政府がいうように安全保障上差し迫った危機があるのなら、その危機を具体的に説明し、両院の三分の二以上の国会議員の賛成により発議し、国民投票を行い、正面から憲法改正に取り組むことが筋道であり、議会の王道であると考えます。戦後の安全保障政策における大転換なのですから、一内閣の解釈改憲ではなく、最後は国民に判断を委ねるべきです。
自民党の国会議員の方々の中で唯一、政府や自民党の現執行部のあり方に異議を唱えている方がいらっしゃいます。村上誠一郎議員です。小選挙区制度の弊害であると私は思いますが、自分の意見を言いたくても、ポストや政党の公認を与える総裁・幹事長に反旗を翻すことができなくなっている今日、「大多数の国民が、法案は違憲というコンセンサスが得られている中、強引に突破すれば、日本の民主主義に大きな禍根を残す」「憲法理念としておかしいことを、天下の自民党がやってはいけない」と訴える村上誠一郎議員の良識と勇気は尊敬に値します。
立憲主義に反し、民主主義を壊す恐れのあるこのたびの法案は撤回し、憲法改正に取り組むという王道を歩むことを願って、27請願第4号ならびに27陳情第9号、さらには27陳情第10号の採択を求め、不採択とすることに反対をいたします。ご清聴誠にありがとうございました。